バカなことをやったものだが、さすがにこういうルーズな運転はおすすめしない。
クルマというものは、やはり靴を履いて運転するものだ。
どう考えたって、下駄や雪駄よりは靴のほうが運転しやすいに決まっているし、安全だ。
ほんとうをいうと、裸足でアクセルをコントロールすればかなり微妙なことができるのだが、こいつも万が一のとき怪我をする可能性がある。
ま、クルマから乗り降りするたびにいちいち靴を脱いだり履いたりする奇特な人もいないだろう。
というわけで、運転するときは靴なのである。
最近は、といってもだいぶ前から、若い人のあいだで運動靴=スニーカーが流行である。
いまの若い人たちを見ていると、ほとんどがスニーカーを履いている。
私は若いころから、ずっと革靴党だったのだが、ここ数年、スニーカーを履くようになった。
しばらく前に、大きな手術をして身体がフラつく時期があったが、そのとき、ふだんの革靴からナイキのスニーカーに履き替えたら、まったくフラつかなくなった。
さすがに歩くためにスニーカーというものはよく研究されていると、私はいたく感心した。
このとき以来、履かず嫌いだったスニーカーを履くようになった。
ドライブするにもなかなか向いている。
というのは、底がしっかつて私はテニスシューズやら運動靴のようなたぐいは、ドライブのときには敬遠していた。
なんとなれば、底がへナへナと柔らかすぎるため、足が疲れてしまうからである。
底の柔らかい靴は運転に適さない。
たとえばアクセルペダルは、長時間にわたって一定の力で踏みつづけるわけだが、底が柔らかいと靴が変形する。
そうなると指先に余計な力を入れなければならない。
これが疲れるのだ。
ところが、最近の、たとえばナイキのスニーカーなどは底が適度に硬くて、こいつが運転しやすいのである。
クルマを運転するときの靴は、ある程度底が硬くてバカッとしているものがいい。
そんなわけで私は運転には底が硬めのスニーカーをよく履く。
革靴、こいつも底が硬いから運転するには悪くない。
ただ靴底のふち、コパがでていないことが大事だ。
いくら底が硬くても、たとえばリーガルの革靴など、幅広なコパの出ている靴はいざクルマを運転するとなるとペダルにコパがひっかかることがある。
そいつがたまたまパニックブレーキのときだったら、こいつは怖いことになる。
同じ革靴でも、ある種のイタリアンシューズなど、靴底の柔らかいものは敬遠したほうがしっかりしているからだ。
ところでこのスニーカー、いい。
私は柔らかい革で作られたおしゃれな靴が好きだが、こいつはいかんせんドライブには向いていない。
最近の新しいクルマ、たとえばTのプログレとか、マーク=、セドリックというあたりだったら、まあ軽くていいかもしれないが、Nのたとえばモーガンとかスーパーセヴンといった、少々スパルタンなクルマになると、気分よく運転できまい。
また革底の靴は、ペダルのゴムがへたっているような古いクルマではツルツと滑ることがある。
パニックブレーキのさいツルツときたら、こいつは致命的だ。
レーシングドライバーという人種は足元についてはいたって神経質で、雨の日に運転するときは、滑らぬようにたいていボロ切れで靴底を拭いてからクルマに乗り込んでいる。
もっと神経質なドライバーになると、編み上げ靴の紐を結んだあと、余った紐をハサミで切ってしまう。
万が一、ペダルにひっかかることを恐れているのだ。
ドライビングシューズ以上のプロフェッショナルユースとして、専門的なレーシングシューズもある。
こいつはけっこう高価なものだが、底がしっかりしていて、さすがに運転するにはいたって具合がよろしい。
ただ、こいつは雨にはきわめて弱く、運転以外には使えない。
普通の使い方をしているとすぐにボロボロになってしまう。
日常的に使うことを考えると高価なものだけにあまりおすすめはできない。
いずれにせよ、底の硬い、しっかりしたスニーカーはドライビングシューズとして実用的である。
革靴のように雨の日、底が滑ることもない。
また、老人がスニーカーを自然に履きこなすというのも、若々しくていいと思う。
ただ、同じスニーカーでも、ペラペラした布製の運動靴みたいなヤツはだめ。
変形しにくい、履きやすいものを選ぶことだ。
取扱説明書はさほど熱心に読まなくてもよくなった。
クルマを買うとかならずついてくるのが取扱説明書、略してトリセツヘそこにはクルマの取り扱い上、基本的なこと、たとえばガソリンはハイオクにせよとか、給油口はこうしてあけよ等々、そのクルマを動かすうえで必要にして最低限のことが説明されている。
クルマを買ったら誰でも、まずは最初にこれを読むはずだ。
しかし、現代のクルマは人間の使う道具としてほぼ平準化されているから、これをスミからスミまで精読し、頭にたたき込んでいないからといって、べつに問題はない。
いにしえのクルマは八00キ口走ったらどことどこをグリスアップせよとか、エンジンオイルは二000キロごとに、デフオイルは五000キロごとに交換うんぬんと、トリセツの指示にしたがって、あれこれ手を入れてやらねばならなかった。
が、現代のクルマはほとんどメンテナンスフリーなのである。
また、旧いクルマは季節によってチョークボタンの引き方を変えてやったり、ギアシフトのパターンが違っていたりと、クルマごとにその操作に慣れなければならなかったが、現代のクルマは操作系はほとんど統一されており、操作がわからず戸惑うことはまずない。
シトローエン2CVやルノ14のように、ダッシュボ1ドから突き出したシアターを押し込んだり、抜いたりしながらギアチェンジするというクルマはもうなくなった。
オートマティックのシアターはどれもP・R・N・D・3・2・1の表示だし、マニュアルシフトも4速、速、6速の違いはあっても、基本的に=型シフトである。
トリセツを読まずとも現代のクルマは誰にでも動かせるようになっている。
ライト類やワイパー類の操作についても、あれこれ触っているうちにすぐにわかる。
サイドブレーキの操作も、クルマによって違うことがあるが、これも乗ってみればまずわかる。
パソコンのようにどこをどういじったら動くのか、さっぱりわからないなどということはない。
ま、それだけクルマというものがほぼ一世紀にわたって人間とつきあってきただけあって、道具として熟成し、完成されているということだろう。
それでもいまだに「エンジン、ブレーキって、どこについているの?ーなどという女性ドライパーもあることだから、新車を買ったらとりあえずトリセツは読んでおこう。
ガソリンの給油口とボンネットの開け方、パンクなどのトラブルで、ジャッキアップするときのジャッキ5を当てるポイント、それからヒューズボックスの位置ぐらいはいまのクルマを走らせるうえで最低限知っておかねばならぬ。
ただ、ひとつつけ加えておけば、4WDのクルマ、こいつはトリセツをしっかり読んでおいたほうがいい。
エンストなど故障で牽引する場合、やみくもに引っ張ると4WDのシステムをぶつ壊してしまうことがあるからだ。
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